人に頼らず自ら考え行動することが大事だ!

昭和の帝国陸海軍のような組織が多くないか?


金融危機の影響は、電気産業にも及んで来ていて、昨日もソニーの全世界で8,000人のリストラというニュース(ソニー、1万人を追加削減--エレクトロニクス事業復活へリストラを断行 - CNET Japan)が話題になっていたが、自分の会社を見ていても、他社の状況を聞いていても、まだ温度差は相当に大きい。ロジカルに考えるとこれから起きるであろう事はすでに充分予想できる情報も揃って来ていると思うが、まだ危機の実感を持てない経営者も多いようだ。今の時点で、冷静なシュミレーションができないようでは、本当に危機的状況が起きてくると今度は過剰反応を始めるのだろう。一方、現場には動物的な直感が働きだした人を沢山目にするようになってきた。


こういう状況を見ると、結局日本という国は、第二次大戦当時の帝国陸海軍の構造、すなわち第一線の兵士は強いが、中央の参謀本部が事態への対応能力を失ってしまうという構造を克服できていなかったのだと思う。政治の場でも、企業でも怖いくらいに同じ構図ではないか。そうだとすると、危機を迎えて企業は危機管理能力のある人の元に結集して対処する、というイメージよりは、一度は成功したもののすっかり敵に見抜かれてしまった作戦をバカの一つ覚えのように繰り返して、自軍を自滅に導く将校や参謀本部の様子が目に浮かんでしまう。みなさんの会社ではどうだろうか。老害そのものの将校(経営者)、目の前の現実を全く理解できていない作戦を押し付けてくる参謀本部(経営企画、社長室等)に自分の会社がだぶって見えてしまう人は多いのではないだろうか。昭和の陸軍を支配したのは威勢が良く、常に強硬姿勢で臨む服部、辻に代表されるような参謀であったと言われるが、平成の日本株式会社もまだその亡霊に支配されていないだろうか。



全社一丸になったら全員が亡びる?


不思議なことに、同じ旧帝国陸海軍でも、日露戦争当時のように、日本海海戦を完全勝利に導いた天才参謀秋山真之や、ドイツの戦術家メッケルから“日本最高の戦術家”と称された児玉源太郎のような人が縦横無尽に活躍して、信じられないような勝利を得たこともあったわけだから、今こそそういう人が沢山出て来て活躍して欲しい時なのに、どうしたことか太平洋戦争末期のほうが今日の状況に似て見える。少なくとも自分の見える範囲の周囲はそうだ。皆さんの会社ではどうだろうか。そうでなければ幸いだが・・。そんな経営者から『全社一丸となって危機を乗り越えよう』とか言われても、補給なしに死地に送り込まれた兵士のような気にならないだろうか。


これからしばらくは、会社の生き死にを身近に感じるような修羅場になる可能性が高い。そんな時に必要なのは、事態に応じて最善の対策を次々とスピーディーに立てて実施していくこと、である。経費節減やらリストラやらばかりで、あとは我慢とかけ声のような硬直化した策しか出てこないようでは早晩立ち枯れてしまうだろう。では、自分の会社がそのような経営者や上司だらけだったらどうすればいいのだろうか。当面はどんな優良な会社でも、転職等の受け入れが難しくなる恐れもある。ぎりぎりまで自社で踏みとどまることが必要な時期が訪れようとしている中、そのような環境におかれた人はどうすればいいのか。



絶望的な状況を乗り切った人もいた


今回は戦争のアナロジーに言及したので、最後までこだわってみると、一人とても印象的な人物を思い出す。それは、日本が壊滅的な敗北を喫したノモンハンインパールで不敗の連隊長として有名だった宮崎繁三郎陸軍中将である。有名なと言っても、かなり歴史に詳しい人でもその名を知る人は少ないかもしれない。だが、このような人がいたことは、あの陰惨な時代の数少ない救いだと思う。同時に、危機的な状況を生きるというのはどういう事なのかを考えるにあたっては燦然と輝く道標だと思う。


インパール作戦というのは、1944年(昭和19年)3月に日本陸軍により開始され6月末まで継続された、援蒋ルートの遮断を戦略目的としてインド北東部の都市インパール攻略を目指した作戦のことである。 補給線を軽視した杜撰(ずさん)な作戦により、歴史的敗北を喫し、日本陸軍瓦解の発端となった。 無謀な作戦の代名詞として、しばしば引用される作戦である。(Wikipediaより) この作戦を指揮する、牟田口司令官は最初に参謀長としてついた、シチョウ兵出身の小畑少将が補給に問題があるとして反対したことに腹を立てて、わずか一ヶ月でクビにしてしまったり、補給を無視した無謀な突進命令を度々発したことから、部隊内では「無茶口(ムチャグチ)」と呼ばれることさえあったというから、『補給』=『臆病』と考えていたとしか思えないような人物だ。そんな指揮官の指揮する作戦は、結果的に日本軍参加将兵約8万6千人のうち戦死者3万2千人余り、戦病没者は4万人以上(そのほとんどが餓死者であった)を出した。Wikipediaより)

インパール作戦 - Wikipedia
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ところが、宮崎中将の指揮する宮崎支隊は、インパールよりさらにインドに近いコヒマを占領し、作戦全体が進まないため、コヒマから徹底するにあたっても負傷兵や病兵を一人も戦場に見捨てずに運んだばかりか、他の師団が見捨てた兵(患者)まで拾って帰ったという。補給を進言する参謀を即座に更迭してしまうような司令官をいただきながら、宮崎中将は徹底的に補給を考え抜き、状況に極めて柔軟に反応した特筆すべきは、イギリス軍の守備兵を敗走させた時に、今まで使っていた日本製の武器を全部イギリス製に取り替えさせたことだ。味方の補給はまったくあてにせず、敵の補給を奪う方がまだ当てになると考え、『天皇陛下から賜った』帝国の武器を捨てて、鬼畜米英の武器を持たせるという発想は、信じられないほどの知恵と柔軟さではないか! 



各自が独立自尊の信念を持てば


あなたの会社の牟田口司令官が如何におかしなことを言っていても、そんなことに踊らされて亡びることはない。自ら知恵を絞って作戦を立てて柔軟に展開して勝つ、宮崎中将のようなマインドこそ、今の時代に最も必要なものだ。そんなマインドと実行力を持った人が沢山出てくれば、あなたの会社でも『変化=チェンジ』は起こるはずだ。それにはまず、各自が決然と独立自尊の信念を持って行動を開始することが必要だと思う。