ブロガー勉強会に出席した

一昨日、5月26日(月)、AMN(アジャイル・メディア・ネットワーク)主催のブロガー勉強会に出席した。*1


定期的に開催されているこの勉強会は、シリーズ第6回目。私自身は、前回(4月28日)に続く2回目の出席。前回は、比較的出席人数も少なく、全員がそれぞれの知恵や経験を語り合う感じだったが、今回はプレゼンテーターとして3人のブロガーにお話をしていただいた上で、質疑応答を行うというスタイルだった。出席人数も多く、しかもこの種の勉強会には珍しい、外国人の女性(ロシアではないロシア語圏出身とおっしゃっていた)も出席していて、とてもにぎやかな雰囲気だった。


ブロガー勉強会開催概要

・開催日時 5月26日(月) 19時半〜
・開催場所 パソナテックセミナールーム (渋谷)( 地図はこちら)
・会費 3,000円 (勉強会後の懇親会費込み、勉強会開始時に集めます。)
・人数 40名予定 

・ショートプレゼン (各自プレゼン10分+Q&A20分を予定)
 ・トミモトさん(hiniclip)  「ライブカメラで中の人が見えるブログ」 
 ・yasuyukiさん(Reason to be cheerful, part 2)
  「僻地で過ごすブログ生活」
 ・あきみちさん(Geekなぺーじ)「匿名ブログのススメ」


3人のプレゼンテーターは、それぞれまったく違った環境と立場にあり、しかもそれぞれに非常に個性的だった。実によく練られた人選だったと思う。 こういう場に出ると、日本のブロガー層が思った以上に拡大していて、各人の生活や仕事の中に深く浸透しつつあることを再認識させられる。 実際、その後の懇親会でも、3人のプレゼンテーターに優とも劣らない、楽しくクレバーなブロガーにたくさん会うことができた。 さらには、出席者のブログのURLでいくつか内容を拝見すると、それはもうにぎやかだ。是非みなさんも自分でご覧になって欲しい。


それぞれのプレゼンについては、これから本人や出席されたブロガーからたくさんのレポートが出ると思うので、あくまで私が見聞し、感じたことを書いておこうと思う。



トミモトさん(hiniclip)  「ライブカメラで中の人が見えるブログ」 


ダダ漏れと称して、業務中にライブカメラであるUSTREAM*2を使って間断なく自分自身を中継しているという、実に個性的な女性ブロガーで、しかもそれを許してしまう会社にも自由闊達で創造的な雰囲気を感じる。最近は日本では企業も個人も閉鎖的で、『引きこもり』がキーワードになってしまうような息苦しさが蔓延している中、個人としても、会社としても、実に開放的であざやかだ。 マーケッティングの基本は他社がやらないことをやる差別化にあるわけだが、そういう意味では、ミキモトさん、マーケティングの才能もたいしたものだ。 しかも、ダダ漏ればかりが強調されがちだが、ブログの内容自体もよくできており、トピックの選定のセンスのよさ、新鮮な視点、すぐれたデザイン等、いずれもレベルが高く、多才な才能の持ち主であることが一目でわかる。 


個人情報保護法に対する過剰反応や、プライバシー意識の高まり、さらにはGoogleが巨悪になることを懸念する管理社会到来への忌避感等、一見民意は情報秘匿の方向へひた走っているかに見える。ただ、本当にそうだろうか。いや、本当にそういう流れがあるのはまったく間違いではないが、一方で監視というより、誰かにいつも見られていたいと望む人も増えているのではないか。 これは一種の『自由からの逃走』*3ではないかと思うのだが、あまりに自由裁量の幅が広く、共同体からの抑制もなく、戦後的な会社共同体の空気からも自由になってみると、それが苦痛になってきている人は思いのほか多いのではないか。(もちろん、最適な距離の取り方は、まだあまりはっきりはしていない)そういう意味でも、トミモトイズムは形を少しずつ変えながらも、意外に大きなトレンドになるのではないか。



yasuyukiさん(Reason to be cheerful, part 2)
  「僻地で過ごすブログ生活」



本人がおっしゃるとおり、確かにブログのシステム自体に、ナイス&スロー&ハイセンスなミドルのブログやコミュニティーのあり方を実現する設計になっていることがよくわかる。『大人』を強調されたyasuyukiさんだが、『年齢的な大人』、というより、『精神的な大人』が対象なのだろう。今の日本は、総子供化社会と言ってよいような状況が一方にあるし、年齢的には大人のはずであっても精神的子供はものすごく多い。子供のブログやコミュニティにはそれにふさわしい別の場があるだろう。また、ワーカホリック、仕事依存人も、そのメンタリティは大人というより子供だと思う。だからこのブログには向かないかもしれない。 そのような大人の知恵があればこそ、mix疲れの原因と言われるような足跡のようなものも、他のブログであれば必須とも思われるアクセス解析もなく、逆に、写真単位で閲覧者を選定できるというような、絶妙な設定ができるのだろう。 


スローライフというのは、実際に取り組もうとすると案外難しく、下手をすると引きこもりと区別がつかなくなってしまいかねない。微妙な大人のバランスなしには維持できない。しかし、環境・資源問題制約がこれだけ明確になってくると、エネルギー消費極小/満足極大のライフスタイルを構築していくことは、絶対に必要なことだ。 ここでブログを書いて、コミュニティに入ると自分自身の現状とあるべき姿の差が見えてくるかもしれない。




あきみちさん(Geekなぺーじ)「匿名ブログのススメ」


この人のブログは、すでに大変有名なので、私のような初心者でも存じ上げている。ただ、ここまで企業内で周囲に気を使って書かれているとは知らなかった。日本の大企業では、多かれ少なかれ強い制約があり、企業内での立身出世を前提に考える人にとっては、そこまでリスクをとって、ブログを書く理由は何かという問題になりがちである。しかも、メーカーよりもっと制約が厳しい金融関係になると、さらにプレッシャーは強いと思われる。日本企業で働く人には多かれ少なかれ関係があることなので、参考になると感じた人はすごく多いと思う。


あきみちさんはどうしてブログを書きたかったのか。会場から、ブログを書くモチベーションは何なのかという質問があり、はてなブックマークのような一般人の反応だという回答があったが、質問者が聞きたかったのは、そういう回答ではないだろう。周囲の人に知られずにもくもくと続けることは精神的には大変だろう。でも、それを超えて、書くことの喜びがあったということになる。その喜びは、はてなブックマークの高評価だけではないだろう。 そのあたりのことをもう少し突っ込んで聞いてみたかった。



総評


前回の勉強会では、何か一つでも自分が使える具体的なノウハウを見つけたい、という姿勢で皆さんのお話を聞いていたが、今回は、ノウハウというよりは、それぞれのコンセプトをやスタイルを丸ごとどう評価するか、という点に興味を感じることになった。 そういう意味では、前回と意味は違うが、大変参考になる勉強会だった。


ただ、あえて言えば、やはり日本では全般に少ないといわれる、ニュース系/論評系が入っていなかったのは、少々残念だった。 確かに、明確な意見表明をしていくと(特に政治の話題等)、どうしても匿名の感情的な批判にさらされることを覚悟せざるをえない。そのストレスを乗り越えてブログを運営していくことは(特に個人では)大変だ。 だがブログが本当に日本を変えていくことを期待するのであれば、一定量以上の、このカテゴリーのブログが次々と立ち上がってくるような状況が欲しいところだ。 日本が変化するきっかけは昔から、外圧や異質なものからの刺激であることが多いわけだが、何かきっかけになるようなブレークスルーがないだろうか。海外在住の日本人、日本在住の外国人等の活躍はブレークスルーになりうるかもしれない。また、外国語による発信等もきっかけになる可能性はあると思う。今後の勉強会で取り上げて欲しい議題のひとつだ。
 



※当日の参加予定の方のブログリスト
 
http://www.elena-k.net/news/
http://sandglasst.exblog.jp/
http://www.nutime.jp/nam/blog/
http://101lab.net/blog/
http://d.hatena.ne.jp/mohri/
http://dev.kinokodb.net/
http://yamamichi.livejournal.com
http://ipodtouchlab.com
http://d.hatena.ne.jp/nakakoh/
http://morningang.jugem.cc/
http://ameblo.jp/ma-nana
http://blog.livedoor.jp/gehilun/?blog_id=2580762
http://wjw.boo.jp/blog/
http://blog.livedoor.jp/kogeaonori/
http://marke.seesaa.net/
http://kmnetwork.exblog.jp/
http://d.hatena.ne.jp/ta26/
http://mapz.exblog.jp/
http://mbdb.jp/
http://otashimasho.com/
http://komari21.seesaa.net/
http;//pinkmac.com/
http://passionhack.wordpress.com/
http://www.tenjiku.jp
http://marke.seesaa.net/
http://ameblo.jp/webman
http://yoshikazuasada.biz/
http://musilog.net/
http://d.hatena.ne.jp/gothedistance
http://www.schaft.net/n00bs/
http://www.ulog.biz/
http://kira-ism.seesaa.net/
http://fanblogs.jp/mama-nikki/
http://takuo.txt-nifty.com/
http://eigono.info/
http://blog.livedoor.jp/mensstudio/
http://blog.tokuriki.com