第2回オフラインnewsing に参加して

オフ会の概要と感想


昨日(5月16日)、オフラインnewsing 『日本のニュースサイトはなぜつまらないのか』オフラインnewsing Vol.2 『日本のニュースサイトはなぜつまらないのか』|近江商人JINBLOGに参加してきた。


前回(2月8日)に続いて、今回は2度目のオフ会。前回は比較的こじんまりとしたアットホームな雰囲気だったが、今回は同じ会場(渋谷マークシティ17F パソナテックセミナールーム)ながら、超満員で大変な盛況だった。進め方も、今回はニュースサイトを運営する二人のゲスト(株式会社ライブドア 執行役員 メディア事業部長 田端信太郎氏、アメーバニュース編集責任者 中川淳一郎)と、newsing を運営する、マイネット・ジャパンの社長、上原氏が3人でパネリストとなり、司会者の質問に答えて行くスタイル。上原氏が同じく主催する、RTCカンファランリアルタイムネット☆雑談スペースと近い雰囲気だった。


livedoorニュース、アメーバニュース、newsingと、個性的でいきのよいニュースサイトの責任者から、それぞれの現状認識、編集方針、今後の豊富等が披露された。お互いに相当な違いがあり、それがサイトの個性となっていることが伝わって来て、大変感銘を受けた。今回のタイトルメニューであった『日本のニュースサイトはなぜつまらないのか』が想起するような危機感はあまり話題にはのぼらず、むしろ3人の自信、自負のほうが強く感じられた。(具体的な内容は、会場の優秀なブロガーから詳細なレポートが出るであろうから、そちらにお任せしたい。)


しかしながら、その運営に関して言えば、3社とも危機意識は共通していたようだ。既存の資金も人材も豊富で組織もしっかりした一流メディアと比較して、いかに独自のポジションを明確にして生残るか(マネタイズできるか)という点。それぞれのポジションニングの違いが、ニュースに対する認識を、ジャーナリズムからエンターテイメントにまで渡るバラエティとして表出していて、今の日本の『ニュース』を巡る様々な問題を再確認させていただいたように思う。


裏を返せば、テレビ、新聞、雑誌等の既存のメディアが資金、人材、組織ともしっかりしていながら、多くのつけ込まれる隙をつくっているということだ。その隙が生まれた最大の原因は、インターネットなのだから、インターネットで本来できるはずだができていないこと、これからさらにテクノロジーのサポートを得てできるであろうこと、インターネットの生んだ思わぬ産物である集合知やコミュニティーの一層の活用というところにもう少し話しを集約していくともっと面白かったのではないかと、個人的には感じた。


現代日本のジャーナリズムやメディアに関して言えば、長らく指摘されながらも解決のきっかけのなかった様々な問題点が、ここに至って改革せざるをえない状況が一気に出て来ていること自体、時代が与えてくれた日本の浄化と改革のチャンスなのだから、ニッチを見つけて生残るだけではなく、歴史をつくるくらいの意気込みのニュースサイトが凌ぎを削ってほしいものだ。 そういう意味では、今回のオフ会を主催された、マイネット・ジャパンの上原氏は以前から志を高く持ちたいという真摯な姿勢が感じられてとても好感が持てる。我々も及ばずながら、その歴史をつくるお手伝いをしていきたいものだと思う。



自分が欲しいニュースサイトコンセプト


オフ会はパネル討論の後に、参加者の実現したいニュースサイトというような主旨の問題設定があって、参加者どうしが議論した後に全体で発表するというセッションがあった。これもまた、面白い話が沢山出て来て、インスピレーションを刺激された。 (私は、風邪で体調不良のため、残念ながら懇親会は参加できなかったが、みんな刺激を受けて懇親会も盛り上がったことだろう) ここで語られたことを参考に、私自身があればよいと感じた(実現できるかどうかは別として)ニュースサイトのコンセプトをまとめておこうと思う。



1.ニュースを個々の事実としてではなく多様な相対関係の中で知りたい

(1)日本のメディアだけでなく他国のメディアや関係者の見解も一同に知りたい

  • これはすでにある点で実現しているサイトも多くあるが、日本人が普段接触を持ちにくい、アフリカ、中南米、西南アジア等を含めてどのような見解をもたれているのかが、どんどんニュースとして集まってくるようなサイトがあればよいのにと思う。

(2)あるニュース/事象に関係のありそうな他のカテゴリーのニュースも一緒に知りたい

  • 例えば、『あるチョコレートが売れている』→ 『資源との関係』『天気天候との関係』『人口動態との関係』『テクノロジーとの関係』『他の流行世相との関係』等、あらゆる観点での関連性が一覧できるサイトはつくれないものだろうか。

2.歴史的な経緯の中で理解したい

(1)あるニュースの過去の経緯も併せて知りたい

  • CNNのニュースなど見るとかなり良くできていると思うのだが、過去の経緯やそれを知ることができる記事等がネットで投稿されて、投稿されたものが時系列と因果関係でソートされて一覧できればすばらしいといつも思っている。個々のニュース群が固まりとしてできて行くと、新しいニュースが出て来た時に、今度はニュース群とニュース群が体系を作り上げて行く、こういうことが可能になれば、本当の意味でニュースの深層を知ることができると思う。

(2)あるニュースとほとんど同じ過去のニュースも併せて知りたい

  • 過去に全く同じニュースはないだろうが、同様と考えられる記事のストックがあれば、それが併せて一覧できるとうれしい。特に事件、犯罪などは随分役に立つと思う。裁判の判例なども同様だ。

3.関連する統計/データ/地図等客観的資料との関連を知りたい

  • 関連する統計やデータについては、自分で検索エンジンを使って調べることが多いが、そういうものがどんどん集まってくるサイトがあれば大変重宝するだろうと思う。

4.ニュースに関する多様な見解/解説を効率よく知りたい

  • 即時性は期待しにくいが、ある程度時間がたったとしても、優れた見解や解説(ニュース解説、ブログ記事等)がどんどん集まってくるようなサイトが欲しい。投稿の仕組みをうまく考えればできそうな気もする。全部のニュースというわけにはいかないと思うが、一週間の中で特に皆の関心が高いと思われるニュースに対する意見、解説記事を投稿で集めて人気投票等を行うか、ニュースサイトの編集員が特別な表彰を行うということも面白いかもしれない。解説を書いた人も、ピックアップした人も、モチベーションが上がれば、すぐれた意見、解説を集約するための能率も上がって行くだろう。

5.ニュースに対して新たな連想や発想が生まれるようなサイトが欲しい

  • ある記事 → そういえばこんなこと → そういえばこういうことも → それならこんなことも というように、いわばブレインストーミング的にどんどん様々な事象や意見が集まって来て、ある程度の集合になったときに思わぬ知見が生まれるようなサイトができないものだろうか。 ニュースからそういうことを自分で気づくよう努力する人も多いだろうが、このようなサイトがあればレバレッッジとなると思う。

現状では、ニュースの中で強い関心を引くものがあると、自分自身で、検索エンジンを使ったり、著名なブロガーのブログを集めたりすることで、ここにあげたようなことを少しでも実現すべく作業をして、自分なりのニュースの理解を深める努力はしているが、集合知という形でどんどん集まったり、すぐれたアルゴリズム検索エンジンで簡単にできるようになればいいのにといつも思う。 他の皆さんのご意見も是非聞いてみたいものだ。