未曾有の大災害を前に自分ができる発言/発信
■細心の注意を!
状況の確認が進むとともに、地震による犠牲者の数がものすごい勢いで増えている。警察や自衛隊による必至の救出作業が続いているが、驚いたことにその警察にまで犠牲者が出たり行方不明者が出たりしている。亡くなられた方々には心よりご冥福をお祈りすると共に、必至の救出活動を続ける方々もくれぐれも細心の注意をもって活動にあたっていただきたいと思う。
■言葉を失いそうだ
『古今未曾有』『1000年に一度』という歴史的な出来事を前に、一体何を書けばいいのか。そもそも自分に何か書けるのか。阪神大震災の頃と比較して、情報の流通量が格段にあがった今では、現場の驚くべき映像が大量に流れて来るが、どれもどんな創作的な創造力も及ばない迫真力に満ちている。言葉を失うというのは、まさにこういうことを言うのだというのを思い知って、ガンと頭を殴られたような気がする。
■有用な発言/発信
ただ、こんなとき、他の人は一体何を語るのか。もしかすると、こんな時こそ『発言者』『発信者』としての真価が問われるのではないか。少しだけ冷静になるとそれが気になって来てブログ/Twitter/Facebook等を通じて有用と考えられる発言/発信行っている人を、そういう観点でチェックしてみた。
有用な情報のリンク集を作る人、義援金や援助のスキームを立ち上げる人、少しでも元気の出る話題を集めて書く人、原子力関連の貴重な情報を流す人、阪神大震災の時の教訓を語る人等々、なるほど、普段から心を揺さぶる『発言』ができる人、貴重な情報を『発信』してくれる人はこんな時でも、いや、こんな時こそ実にすばらしい語るべき『言葉』を持っていることがわかる。すごい。どうしてそんなことが可能なのか。
■身体化した『言葉』
丹念にそういう『言葉』を読んで行くと、胸に迫る力強いメッセージを発信している人の『言葉』には、一つの共通する特徴があるようだ。『身体化』している。何らかの深い体験に裏付けられている。だから、その『言葉』はその人にしか書けないし、誰か他の人が同じことを書いても、何も伝わってこないに違いない。非常に興味深い。だが、今は分析に時間を使う時ではない。自分に語るべき言葉や発信すべきことがあるかどうか問うべき時だ。
■私に発信できること:呼吸
では、私も一つだけ語ろう。非常事態を前に、体が震える時、頭が真っ白になってしまう時、足がすくんでしまう時、そんな時には思い出して試してみて欲しい。
『できるだけ長くゆっくりと呼吸すること』
深く、長く、特に吐く呼吸を長く。できればその呼吸をゆっくり数える。最低10回くらいは繰り返す。心が乱れるとき、大抵呼吸は浅く、早くなっている。それを深くゆっくりと意識して行うと逆に心の方が安定する。本当にそうなる。
■私の体験
私は非常時に冷静であると評価して下さる人が結構多い。確かにそうかもしれないと最近では自分でも思う。だが、最初からそうだったわけではない。沢山のパニックを経験しながら、人から習ったり自分で研究した呼吸法を何度も試して来た。私は呼吸の分析家ではないから、その効果を理論的に語ることはできない。だが、体験ならたぶん人並み以上にある。
私は、旅先でトラブルやハプニングに出会う運命だとかつて占ってくれた人がいたが、確かに当たっていたるかもしれない。例えばこんな体験をしてきた。
・フィリピンでクーデターに巻き込まれて人質になった
・パリで満員のエレベーターに宙吊りで閉じ込められた
・タイの飲み屋でトラブルになり数人に囲まれた
・インドで一人食あたりで倒れて動けなくなった
・・・・
いつもパニックになりそうになったが、そんな時にはまず呼吸を整えた。意外にこれが効果がある。私にとっては、これだけは『身体化』している知恵だと思っている。
■準備
現段階ではまだ状況はよくわからないが、福島の原子力発電所の情報を聞く限りでは、場合によっては広範囲の放射能漏れ、というような可能性もあるかもしれない。また、まだ相当に大きな地震(余震)が起きる確率もかなり高いという。各自が必要な備品を準備し(発電機等)、自分の情報インフラを充実させること(Skype、Twitter、Gメール等)がなにより大事だと思うが、それと共に、『呼吸』のことも頭の片隅に置いておいて欲しい。もしかするとあなたの身を守ることになるかもしれない。