twitter×AR(拡張現実)×GIS×ゲーム/iPhoneの楽しみな複合価値


一番旬な話題『twitter


しばらくブログを更新していなかった、アップルに非常に造詣の深い、ジャーナリストの林信行氏の今年初めてのエントリーが1月22日付けでアップされている。
nobilog2: 未来をデザインするアップル:次はメディア・ハブ?
第一声は当然、アップルの何か、と思いきや、それは『twitter』だ。

今日、私がおもしろいコンテンツ(雑誌やラジオ番組、テレビ番組やiPhoneアプリ)をどこで見つけているかというと、そのほとんどはTwitterになりつつあります。

Twitterで友人の「今、NHK総合でやっているドキュメンタリーがおもしろい」というツブヤキを見れば、テレビをつけて、選曲が何チャンネルになっているか、何が放映されているか確認もしないうちに、リモコンの「1」のボタン(東京でのNHK総合のチャンネル番号)を押しています。

Twitterで土曜日の夕方「今日のAVANTIのゲストは◯◯さん」と言って気になる人の名前が呟かれていたら、すぐにラジオを付けて東京FMを聞くでしょう。
「このニュースおもしろい」とリンクが書かれていれば、そのWebページを見るし、「本がおもしろい」と書かれていれば、その本を買う。

最近、新聞社のホームページのトップページも、好きなブログのトップページも、ほとんど見ず、おもしろい情報はTwitterで発見して、入り口をすっ飛ばして、直接、そのコンテンツの中身にダイレクトに飛んでいます。
これは昨年秋以降、modiphiの小川浩氏が講演などでも言っていたことだが、今ではTwitterから誘導される「人々のコンテンツ消費」力が、旧来のメディアにも広がりつつ、しかも、その数的なパワーも相当なものになってきたことは、Twitterを紹介した「週刊ダイヤモンド」新年号が大売れしていることによっても証明されているのかも知れない。

全く同感だ。自分でも、この1〜2ヶ月くらいの間に、twitterへの関わり方のレベルがすごく上がった気がする。


2010 年が始まって、IT系ジャーナリストや業界に詳しい人の話題は、何らかの形でtwitterに言及しているものが非常に多い。twitterについてどのような事を発見したのか、どのような関わり方をしているのか等、情報感度が高い人達は競ってtwitterについて語る。



高感度集団


ただ、リサーチ会社のヤフーバリューインサイトが2010年1月12日に発表した調査結果によると、ツイッターTwitter)などの「つぶやき系ミニブログ」の認知度は6割に達したものの、実際の利用経験は1割強にとどまるという。これは、実際に私のようにtwitterにとっぷりハマっている者にとっては、少々違和感がある。だが、冷静に見れば、確かにそんなものかもしれない。ただ、この1割強のメンバーの情報感度は相当に高く、 twitterが、というよりは、twitterに集うこの高感度集団こそ、瞠目してみる必要がある。彼ら(彼女ら)が発信するつぶやきも、その影響力も時代を変える原動力になるのは間違いないからだ。ツイッターなど「つぶやき系ミニブログ」利用経験は1割 : J-CASTニュース


では、取り合えず、この集団の端くれに入っている(と自分では思っている)私は、どのようにtwitterに関わり、今後の展開をどのように見ているのか。



興味深い『iPhone』アプリの動向


実を言えば、個人的にはtwitterの動向と同等、ないしそれ以上に、アップルのiPhoneアプリに大変興味を持って注目している。twitteriPhoneアプリとの関係において注目していると言ってもいい。


アップルは、1月5日、iPhoneおよびiPod touch向けアプリのダウンロード回数が累計で30億を突破したと発表した。現在77カ国で利用でき、登録アプリは2009年11月時点で10万本もあるという。しかもそのペースは実感として日々上がっており、かなり注意して動向をウオッチしているつもりだが、非常に面白くて示唆的なアプリを見逃しては後で知ることがどんどん増えている。ゲームのプラットフォームとしても、任天堂DS等と同様、スタンダード入りしたと言っていいだろう。実用系アプリの充実度も半端ではない。これは素晴らしいというアプリがあっても、すぐにその欠点を補い、凌駕するアプリが現れる。実際、iPhoneを買って使い始めた頃と今とでは、ガジェットとしての意味が完全に変わってしまったと感じるほどだ。自分自身のライフスタイルも大いに影響を受けて変化したことを実感する。しかも、その速度と進化の幅は幾何級数的といっていい。日本では既存のケータイの人気は根強く、如何にアップルとはいえ、そのスマートフォンである iPhoneが簡単に既存のケータイのシェアを切り崩して行くことは難しいだろうという予測をかつてはしていたが、今では正直なところ、同じ土俵で評価することには興味を失ってしまった。



iPhone でより活かされるtwitter


このiPhonetwitterと非常に相性がいい事は、識者が揃って指摘するところでもある。そもそもtwittertwitter.com のホーム画面だけ見ていても本当の面白さはわからない。特にフォロー人数が増えてくると様々な切り口で読み解く事でtwitterの魅力は格段に上がる。だから、専用クライアントソフト利用は必須だし、実際本当に沢山の種類の専用クライアントが出て来ている。例えば、私は、その中の一つとして、 HootSuite*1を頻繁に使っているが、これはiPhoneのネイティブ・アプリとしても出ているため、パソコン画面で見るのとほぼ同様にiPhone でもパソコンで設定した内容を確認したり、投稿することができる。しかも、iPhoneなら自分の居場所を把握できるGPS(Global Positioning System。ここでは広義にGISと言ったほうがいいかもしれない/Geographic Information System、地理情報システム)が搭載されているから、自分の周辺にいる人のつぶやきを簡単に確認できたり、写真をその場で撮影して投稿したりすることができる。そういう意味では、iPhonetwitterアプリはパソコンの専用クライアントソフト以上にtwitterとの相性が良いとも言える。そもそも、twitterの即時性は、肌身離さず携帯している iPhoneのようなガジェットでこそ活かされる。



さらに高まる複合価値


だが、最近はこれに、セカイカメラのようなAR(Augmented Reality、仮想現実)等が比較的簡単に実装されるようになって、複合価値がさらに高まりつつある。


写真/音声(動画): リアルの切取り、表現力向上/美意識の刺激、
 エモーショナルな価値の提供


AR(仮想現実): リアルとバーチャルの接合、創造力の喚起、
 独自の世界観の提示


モーションセンサー: リアルとバーチャルの接合、ゲーム性のアップ


twitter: 情報の素早く広い受発信、コミュニティー化


メール: 情報の素早い受発信


ゲーム: コミュニティー化の促進、ストーリーの提供、
 独自の世界観の提示、興味/楽しさの提供


GIS(地理情報システム): 実世界との接合(情報の接合)、
 人の移動や物理的活動促進


カレンダー: 時間との接合、時間的世界観の拡張



これだけの要素が、リアルもバーチャルも含めて、iPhoneアプリとして創造できる価値の範囲を広げていることがわかる。「フリー」に振り回されてマネタイズに苦しむネット業界と、デフレの中コモディティ化(低価格化)に苦しむリアルビジネス業界の双方を補いあう新しいビジネスのヒントが凝集されている。混沌としてはいるが、これほど創造性とチャンスに溢れたフィールドが他にあるだろうか。だから、私はこの『複合価値の中でのtwitterのポテンシャル』にこそ興味がある。



非常に興味深く示唆的なiPhoneアプリ


最近、この意味で私の琴線に触れたアプリが一つある。『iButterfly』 *2 という『モバイル表現研究所』が発表したiPhoneアプリだ。セカイカメラと同様カメラ画面に、AR(拡張現実)で架空の様々な種類のチョウチョウが飛ぶ。(場所によって出現する種類が違うという。)これをiPhoneをタモに見立てて振ることで捕獲できる。このチョウチョは、おみくじになっていたり、一言情報が書いてあったり、中にはクーポンもあるという。(私まだクーポンのチョウチョウは捕獲していないが・・) 捕獲したチョウチョウはtwitterで自動的に情報発信したり、標本として並んだチョウチョウを交換することもできる。もちろん、捕獲のランキングも場所や日単位で出てくる。まさに、私が前述したような要素をかなり広く取り入れているアプリだ。しかも、今後の様々な発展の方向があり得る。



 例えば、


・チョウチョウ以外の昆虫や動物が出てくることもあるかもしれない。


・ある場所にしかいないチョウチョウを設定して
 ゲーム性を高めることもできそうだ。


・当然、クーポンはそのお店の近く(イベント会場でもいい)が
 捕獲しやすいという設定も出来るだろう。


ポケモンではないが、全種類そろえる収集マニアも
 出てくるかもしれない。賞品を出してもいい。


・特別な『タモ』でなければ捕獲できない昆虫をつくって、
 その『タモ』に課金することも可能だろう。


・チョウチョウ同士を交配すると新しい種類になるという工夫もできる。


・その年、一匹しかいないチョウチョウの捕獲ゲームに
 参加してもらう有料サービスもできそうだ。


・企業名の入った美しいチョウチョウがあってもいい。
 沢山集めるとその会社の景品がもらえるのはどうだろう。



このあたりにしておくが、いくらでもアイデアが湧いてくる。もちろん、このアプリだけでなく、同種のアイデアで別のアプリ、別のサービスもこれからいくらでも出て来そうだから、本当に楽しみだ。このフィールドは今年はもっと大きく花開くことが期待できる。停滞した世の中の雰囲気を払拭するような活性化を期待したものだ。