すべて一からやり直す時が来た


リーマンショック以前までの取組み


ここ2〜3年、自分の会社周辺のビジネス(IT関連)について、将来を予測し、市場を知り、停滞した状況を打破すべく、勉強をやり直して見ようと考えてきた。自分が若い頃から取組んで来たことや学んで来た事を徹底的に棚卸しをしてみた。いつも目先のことはそこそこ真面目に取組むほうなので、その時々の蓄積はあるほうだと思うのだが、少し客観的に距離を取って眺めて見ると、あらためて驚くような変化が起きていることがわかる。そこから法則を把握することなど本当にできるのか心配になってしまう。それでも、いくつかポイントがあることがわかって来て、自分なりに整理が出来て来たと思っていた。


月並みかつ、大雑把過ぎるくくりかただが、下記の点に理解を深めてそれなりの決着をつけないと、これからのビジネスは絶対に乗り切れないと考えるに至った。

  • インターネットの及ぼす影響
  • 金融経済の及ぼす影響
  • グローバル化への位置の取り方
  • 成熟マーケットでの競争戦略


いずれも、多くの日本企業の対応が遅れて、立ち往生してしまっている原因になってきている様が見えるようになって来ていた。



リーマンショック以降変わること変わらないこと


ところが、今回のリーマンショック以降の動向を海外の情報を含めて湛然に追っていると、どう見ても上記の4要素すべてに渡って大きく流れが変わってしまったと考えざるを得ない。具体的なライフハックのようなものから、中長期トレンド分析に至るまで、自分がコツコツと蓄積してきたものが、あっという間に吹き飛んでしまったような気がする。仕事や市場に係わる乱雑なメモをネタにブログエントリーをこれまで書いて来たが、ここに来て何とも筆が進まない。書いて読み返してみると、何だかいかにも現実味がないのだ。すべて陳腐化してしまった気さえする


もちろん、如何に大きな不況でも、必ずどこかで反転して好況は再びやってくる。バブルとて、如何に痛い目を見ても、のど元過ぎれば熱さを忘れることになるだろう。米国の自動車産業のように、構造改革を余儀なくされ、本来市場から退場を迫られているプレーヤー達が、大きな不況に見舞われることで、一気に痛みを伴う改革が進んで負の遺産が解消される機会でもある。日本の大きな組織(伝統的大企業等)に取り込まれて実力を発揮できなかった人材が、成長分野に再配分されるなど、経済が活性化することも期待できる。


だが、過去の大きな変革期(ベルリンの壁の崩壊、日本のバブルの崩壊、9.11ショック等)でもそうだったように、いくつかの要素は流れが徹底的に変わってしまう。もはやそれまでのロジックや思想がまったく通用しなくなる。今回はおそらくそのような過去の変革期をすべて圧倒する大変革期となる予感がある。しかも、グローバル・ウオーミングやテロとの戦い等の世界的な問題は、けして解決されたわけではない。さらには日本においては、世界に例を見ないペースで進む少子高齢化など、世界の他国に劣らない厄介な問題に苦闘しなければならない。



これからどのような時代になって行くのか


何度か私自身ブログで書いた通り、昨今の市場は(というより世界は)過去のリニアな分析の延長上では測れなくなっている。だから、如何に精緻になろうとも、狭義の金融技術や経済学が長期に渡って通用し続けることは難しいと何度も書いて来たが、図らずも現実となろうとしている。如何に全体としての把握、直感的な把握をすることができるためにはどうすればいいのか、というのが私自身の(私のブログの)主要テーマではあった。そういう意味では、今こそ、これからの時代にこそ、ますますニーズのあるテーマになりそうだ。


短期的には不況の影響による流動性キャッシュフロー)の悪化は、どんな優良企業とて避け難いだろうが、一早く、次の時代がどのような時代になるのかを構想し、次代の先頭ランナーになるべく頭を切り替えて行く必要がある。次の時代はどのようなものになっていくのか。それを明らかにしていくことをこのブログを書くモチベーションの一つとして行きたいと思う。




特に日本では


日本については、何より先ず社会の大きな変革がどうしても必要だと思う。特に、『社会のセフティーネット・インフラ』の再構築は、何としても解決していかないと、市場としての日本も、本当に荒廃してしまう恐れが大きい。企業としても、高度成長期の日本企業のように、経済成長だけを目的にして、その他の問題には目をつぶるような経営は自ら墓穴を掘ることになる。目先の問題としても、派遣労働者をバッファーにして、社会的な問題にほっかむりしてしまうようなことでは、これからの時代を乗り切る経営が担えるとは思えない。本当の意味で社会と調和したサステナビリティのある経営への転換がまず出発点と考える。


だから、日本の経営を考える際の最大の課題は、『ライフ・ワーク・バランス』のビジョンをきちんと構想することだと思う。それが本当にできることが最大の社会貢献であると同時に企業としての中期的な繁栄を約束することになる。これは確実にリアルな競争ポイントになってくるだろう。従来のように半ば建前で、空疎なかけ声を連呼するだけの経営者はふるい落とされて行くはずだ。