自分のブログが世界に発信された日


自分のブログが英語に?!


先日、5月19日付けで書いたブログどうしてここまで『ゲゲゲの鬼太郎』は人気があるんだろう - 風観羽 情報空間を羽のように舞い本質を観るトラックバックがついてたので、リンクを辿ってみたら、いきなり英語のサイトに繋がった。

Japan: The Secret of Mizuki Shigeru · Global Voices


あまりのことに面食らいながら、よく見てみると、私が『ゲゲゲの鬼太郎』のことについて書いたエントリーが、驚くほどこなれた英語になって紹介されているではないか! 私も仕事柄、多少英語は使って来たため、ある程度読むことはできるが、普通の日本人が訳した英語ではないことは一目でわかった。ブログを本格的に書き始めてから2ヶ月、正直一番感動した。こんなことがあるとは!


私のブログは、どちらかというと、IT関連周辺のマーケティング、経営、法律等の話が多くて、文化芸術のたぐいはほとんど取り上げていないのだが、たまたまこの『ゲゲゲの鬼太郎』は、私が作者の水木しげる氏と同郷(鳥取県境港市。私の父は私と大変歳が離れているのだが、水木氏と父は小学校時代の同級生。ただし、私は面識は無い。)ということもあって、昔から作品にも親しんで来たため、あえて取り上げてみた。


取り上げ方も、どうしてこの作品が40年以上の長きに渡って、日本で受け入れられているのかということを解明しようと、従前から考えていたことを書いてみたつもりなので、広い意味での『マーケティング』記事、と自分では考えていた。ところが、こうやって取り上げられた記事をあらためて英語も併せて読んでみると、文芸評論、あるいは日本紹介という感じに読めてくるから不思議なものだ。



Global Voices


この英語のサイト、『Global Voices』については、アサヒ・コムで紹介されている。*1 内容を拝読したところ、下記のような主旨で活動しているそうだ。

アジアやアフリカ、中東などのブログを英語に翻訳し、世界に発信するプロジェクトが進んでいる。欧米メディアが伝えない地域の生の声に注目し、言葉の架け橋になっている。世界中から集まった英語記事の日本語への翻訳も手掛ける。


ハーバード大学ロースクールにあるシンクタンクがプロジェクトの形で運営しており(2004年12月発足)、現在、約30の言語を翻訳しているという。


日本語のエディターは、翻訳業の鴇田(ときた)花子さん(28)とカナダ人の大学院生で翻訳もするクリス・サルツバーグさん(31)の2人で、2007年4月から活動しており、週に2本、その時、話題になっていることについて書かれたブログの文章をまとめ、翻訳しているそうだ。 ちなみに、私の記事は、サルツバーグさんが翻訳されている。



日本のブログも捨てたものではない


自分のブログを選んで頂いたから、というわけではないが、これは実にすばらしいプロジェクトだと思う。 今や、『世界のブログで使われている言語は日本語が一番多い』*2というくらい、日本人は量で言えば、世界一ブログを書いている。日本語のブログの記事数は、全体の37%もあるという。ところが、残念なことに、日本語という極めて特殊な言語故に、世界に伝わらない。Wikipediaによればインターネット全人口に占める日本語は約8.4%(英語は 35.2%)というから、そのギャップは大きい。*3(この統計は、2004年9月現在のものなので、このギャップはさらに広がっている可能性が高い。) しかも、日本のブログのほとんどは身辺雑記が多く、読む価値のないものが多い、というようなありがたくない評価をもらう傾向があると言われ続けて来た。


しかし、自分自身がブログに親しむようになって感じるのは、そのようなステレオタイプな評価では語れないくらいに、日本のブログは質のほうも向上してきていることだ。そのような中、鴇田(ときた)さんのお話は実に心強い。

「日本のブログには、自分の思想などについて、しっかり書き込まれたものがたくさんあることを伝えたかった」。背景には英語圏のメディアによる「日本のブログは数だけ多いがつまらないもの」という決めつけへの疑問があった。

日本のブログが世界に発信される!


日本のブロガーの中にも、自分のブログを英語にして発信する試みをされている人もいるが、このGlobal Voices が優れているのは、日本語のブログの内容をきちんと読み込む日本語力を持って記事を選んだ上で、本物の英語に訳している、という点にある。自分で英語を書く場合でもそうだが、ネイティブが読むに耐える英語を書くことは、普通の日本人にはかなりハードルが高い。英会話はほとんど問題なくこなす日本人でも、英語の文章は恐ろしくレベルが低いということも多い。


私も、ブログをある程度継続的に書けるようになったら、将来の夢として、自分の記事を厳選して、英語にして発信してみようと考えていた。だが、日本語のブログを書くのもあっぷあっぷでは、とてもそれどころではない。だが、こうやって、Gloval Voices に見つけられて、評価してもらえば、英語になって広く英語圏まで伝わる可能性があるというのは、なんとすばらしことだろう。最近、閉鎖的で内向きになっている日本、『ジャパン・パッシング』と言われるような寂しい状況を、少しでも変えて行くきっかけになる可能性を秘めている。私も何かご協力できることがあれば、ご協力したいと思う。(まずは、評価してもらえるブログ記事をしっかり書くことが先決かもしれないが。)


サルツバーグさんはの次のお話は、グログを書くものに、大きなモチベーションと勇気を与えてくれる。

大手メディアの報道は世界を分かりやすく伝えてくれる。でも、ブログの文章は、世界がいかに複雑なのかを教えてくれます。